アルバイトを含めても、20 年近く仕事をしてきて、一兵卒でいる期間より何らかの管理職を兼務している期間の方が大分長い中で考えていることの 1 つに、"上司をうまく利用する" という考え方があります。
自分が上司である場合は、部下にうまく利用されることで組織としての結束が高まると考えます。
同期や同年代は、考え方が似ていたり親近感を抱きやすかったりと、放っておいても結びつきが強くなる要素が比較的多いですが、上司と部下はそうはいきません。
頭の固い人は、"利用する・利用される" という時点で拒否反応を示すでしょうが、簡単に言えば信頼関係の強さを表しています。
部下の立場から
部下の立場では出来ないことや手に余ることは、ひとりで背負わずに、遠慮しないで上司に投げてしまえば良いのです。
人から良く見られたい想いが強い人程、出来ないで預ける自分を許せずに抱え込むクセがありますが、それは自分も他人をも殺すことになります。
上司の側は預けられた時点で、
- その人に引き続き頑張ってもらうか、
- 別の人にお願いするか、
- 自分で対応する
をまず考えます。TPO で何を最優先するかによって判断は異なるでしょう。
それらの判断とその結果に対する責任を負うのが上司の仕事ですから、ひとりで抱え込むことは、自分が本来なすべき仕事に手をつけていないかもしれず、上司の仕事双方をも停滞させていることになるのです。
上司の立場では
部下から仕事が預けやすい上司であるか否かは、部下の言葉からは探れません。あくまでも行動から洞察するしかありません。
毎日ルーティンでミーティングすることが大事なのではありません。日々の小さな行動の変化をいかに吸い取るかという観察力から始まります。メールのやりとりが主体でも、小さな気の揺れを感じ取ることは出来ます。
観察した出来事から、本音と現状を洞察する。この繰り返しが結果として部下へのケアにつながります。部下は自分の支配欲や独占欲を満たす対象ではなく、サービス業における顧客と同等と考えるべきです。
自分の行った施策や行動が、周りから支配欲や独占欲で押し切ったと見られていないか、常に自問する姿勢と謙虚さがなければ、どんどん空気が冷めていきます。
出来なかったことを論うネガティブなイメージの "反省" ではなく、もっと良くすることが出来なかったかというポジティブな反省が、組織の和につながります。
人を活かす
人が動く組織である以上、効率のみを追求しても摩擦は避けえません。言い換えれば、自分と他人双方を活かすことを最優先に考えることが、結果として信頼関係も強まり仕事の効率も飛躍します。
信頼関係が成り立つことと自他を活かすこと、どちらが先かは重要ではありません。相手に信頼されていないと感じても、それは大した問題ではありません。まず自分を活かすこと。それが結果として他人をも同時に活かす。
上司と部下であっても、同僚であっても結局は同じことなのですね。迷った時や疲れた時の指針として、今でも原点の 1 つとして考えている事柄をご紹介しました。