未だにプロダクトアウトではなくサービスインで商品開発すべきという話を聞くこともあります。
私はマーケティングが専門でもなく言葉の意味合いを知っている程度ですが、この言葉だけを聞くと違和感を感じざるを得ません。その違和感について改めて考えてみました。
そもそも二元論的な話 ?
"プロダクトアウト マーケットイン" で検索すれば、用語解説や所感を含めたページが多数ヒットするでしょう。
詳しい説明は省きますが、時代背景も多分に影響して後付けされた解釈でしかなく、商品やサービスが溢れている時代に大量生産時代の方針では立ち行かないために新たにアプローチを変えてみたということでしょう。
元々どんな会社や組織も、お客様に自社の強みを追求して利便や満足感を提供することが商品・サービス開発の根幹思想でしょう。
それまで左に傾いていた針を右に少し押し戻し、中道を取りなさいという程度のことでしかなく、言葉が与えられることで理解した気になる思考停止こそを怖れるべきです。
iPad がマーケットインで生まれるか ?
最近の例で言えば、強いてどちらかに分けるとすれば iPad はプロダクトアウトでしょう。もちろん潜在需要は相当にリサーチしていると感じます。
ただ、世に出てきた時点では "これって、一体どんな用途があるの ? 携帯電話より大きいし、PC 程出来ることが少ないし" と思った人は多数存在したと感じています。
それまでにない入れ物を作りつつ新たな世界を提示したからこそ、市場が創れたのでしょう。
新たな世界とは、それまでの生活の幅が広がることでもあるでしょうし、もっと大きくなれば一つの文化に昇華されるでしょう。
バランスと翻訳
市場は、ほんの少しの先見の明と強く実現したい想いが原動力で創られるのだと思います。
どちらが正しいではなく、またどちらにすべきでもなく、開発した商品・サービスを市場に伝わりやすいように翻訳すること、または市場のニーズを開発側に翻訳することの両輪・バランスこそが大事でしょう。
Drive Network Philosophy では、"価値を創る" "付加価値を高める" ことを柱としていると書きました。
これは私自身の考え方そのものでもありますが、お客様のためになること、したいことを実現する手助けで世界観を提示しつつ (価値を創る)、その反応 (感謝・要望・クレーム・苦情) から付加価値を高め続けることが、1 つの商品・サービスの誕生と成長でしょう。
立ち行かなくなれば、また新たな視点や発想を元に未来を見据えつつ、今の世界より半歩先程度に "翻訳" した商品・サービスを提示することがイノベーションだと、私は考えます。